実務FAQ(Q&A)

不動産登記

共有根抵当権の共有部分の債権のみ消滅した場合の登記手続き


Q Aから、一部代位弁済又は一部債権譲渡によりBに根抵当権一部移転登記がされている場合に、Bの債権が弁済されたときは、どのような登記をするか。
(事例)
 所有権登記名義人 甲
 原根抵当権者 A
 根抵当権一部移転登記を受けた者 B
A 下記の登記をする。
 登記の目的 何番付記何号根抵当権一部移転抹消
 原因 年月日弁済
 権利者 A(又は甲)
 義務者 B


Q Aから、一部代位弁済又は一部債権譲渡によりBに根抵当権一部移転登記がされている場合に、Aの債権が弁済されたときは、どのような登記をするか。
(事例)
 所有権登記名義人 甲
 原根抵当権者 A
 根抵当権一部移転登記を受けた者 B
A 下記の登記をする。
 登記の目的 何番根抵当権の根抵当権者をBとする変更
 原因 年月日Aの債権弁済
 権利者 甲
 義務者 A


Q Aから、一部代位弁済又は一部債権譲渡によりBに根抵当権一部移転登記がされ、その後、原根抵当権者Aの債権がCに譲渡され、Cに根抵当権者A持分移転登記がされた場合に、Cの債権が弁済(又は放棄等)されたときは、どのような登記をするか。
(事例)
 所有権登記名義人 甲
 原根抵当権者 A
 根抵当権一部移転登記を受けた者 B
 根抵当権A持分移転登記を受けた者 C
A 下記いずれかの登記をする。
(平成23年11月2日福島地方法務局郡山支局電話回答、平成24年8月7日福島地方法務局若松支局電話回答)
 登記の目的 何番付記何号根抵当権A持分移転抹消
 原因 年月日弁済(又は債権放棄)
 権利者 甲
 義務者 C
 登録免許税 不動産1個につき1000円
※この登記をしても根抵当権はAに戻ることはなく、この登記後に根抵当権抹消をする際の登記義務者はBのみである。

(平成23年11月4日岐阜地方法務局多治見支局電話回答、平成31年2月13日水戸地方法務局筑西出張所電話回答、平成31年3月19日福島地方法務局いわき支局電話回答)
 登記の目的 何番根抵当権の根抵当権者をBとする変更
 原因 年月日Cの債権弁済(又は債権放棄)
 権利者 甲
 義務者 C
 登録免許税 不動産1個につき1000円

※確立された方法ではないので、いずれの登記を申請するかは管轄法務局に個別相談が必要。
※原因は、弁済(債権弁済)、解除(根抵当権解除)、放棄(債権放棄、根抵当権放棄)が考えられる。解除(根抵当権解除)の場合、そもそも根抵当権準共有持分を解除できるかという問題がある。根抵当権放棄の場合、他の準共有者に対して放棄したと解釈でき、権利者をどうするかという点と登録免許税が1000円でよいかの問題がある。したがって、弁済又は債権放棄が望ましいと考える。また、債権放棄は、単に放棄と記載すれば十分のようであるが(実務では単に放棄としている)、個人的には具体的に債権放棄との記載が望ましいと考える。


Q 前問の後者の答えの何番根抵当権の根抵当権者をBとする変更の登記申請をする前提として、登記義務者に住所変更等がある場合、住所変更等の登記申請を省略できるか。
A 先例は確認していないが、省略できなかったことは無い(平成31年3月26日水戸地方法務局筑西出張所、令和1年8月5日岐阜地方法務局本局)。取り下げが許されないのであれば、事前相談が望ましい。


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